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2024シーズンの優秀選手賞は過去最多16人が受賞【選手コメント一覧】

インタビュー公開日: 2025-01-24
2024シーズンの優秀選手賞は過去最多16人が受賞【選手コメント一覧】

Photos : 窪田亮

1月11日、JMSCAはアルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)で2024シーズン表彰式を行いました。昨年のユースを含む日本代表選手の中で顕著な活躍を見せた選手がスポーツクライミング部門の優秀選手賞を受賞しました。表彰式後に、受賞した選手たちに2024年の振り返りと2025年の抱負などを聞きました。

(取材・文/CLIMBERS編集部)

スポーツクライミング部門で優秀選手賞に選ばれたのは過去最多となる16人。昨夏のパリオリンピックに出場した安楽宙斗、楢﨑智亜、森秋彩、野中生萌の4選手は全員が名を連ねました。16人のうち、出席したのは安楽選手や森選手ら11人。安楽選手は4年連続4度目、森選手は3年連続3度目の受賞となりました。

受賞者一覧

※は欠席者
スポーツクライミング部門
優秀選手賞
  • 安楽 宙斗(JSOL)
  • 森 秋彩(茨城県山岳連盟)
  • 野中 生萌(無所属)※
  • 楢﨑 智亜(無所属)※
  • 楢﨑 明智(日新火災)※
  • 小俣 史温(日本体育大学)
  • 中村 真緒(日新火災)
  • 小武 芽生(エスエスケイフーズ)
  • 天笠 颯太(東洋染工)※
  • 村下 善乙(法政大学)
  • 通谷 律(佐賀県山岳・スポーツクライミング連盟)※
  • 長森 晴(N高等学校)
  • 濱田 琉誠(神奈川県山岳連盟)
  • 杉本 侑翼(近畿大学工業高等専門学校)
  • 藏敷 慎人(兵庫県山岳連盟)
  • 林 有沙(石川県山岳・スポーツクライミング協会)

以下、優秀選手賞を受賞した選手たちのコメント一覧。

▼安楽宙斗(JSOL)
――2024年を振り返ると?

「パリオリンピックという大きな大会があった中で、4月のシーズン始めから10月のシーズン終わりまで本当に強くなることだけに集中しました。それが達成できたので、2023年よりも躍動感のある1年だったなと思います」

――クライミングに取り組む上で、オリンピック後に気持ちの変化はありましたか?

「パリオリンピックという一番大きな大会を経験できたことで、もう何が来ても大丈夫だという強い自信とプレッシャーへの忍耐力はついたのかなと思います。2025年はそれが発揮できるように頑張りたいです」

――先ほど表彰式の壇上で、2025年は「変化を恐れない」と話していました。

「最近、リードクライミングの登りのスタイルを曲げない程度に変えています。変えると最初のうちは弱くなるというか、調子が悪くなるんですけど、今は軌道に乗ってきて、リードジャパンカップにうまく繋げられそうです」

――どういうスタイルに?

「ヤコブ(・シューベルト)選手、アダム(・オンドラ)選手、トビー(・ロバーツ)選手といった僕から見るとだいぶ登りが完成している人たちは体幹というかフィジカル、ボディがとても強いです。そこは筋トレやコンペティションではない基礎的なボルダーの登り込みで鍛えつつ、僕は『パッパッパッ』と雑というか適当にこなすからこそ、使う力が少ないというスタイルで登っていたんですけど、パリオリンピックでは固めて進めばよかった場面で、固められずに落ちてしまったので、このオフシーズンに『いろいろと変えていくぞ』って決めているんです」

▼森秋彩(茨城県山岳連盟)
――2024年を振り返ると?

「去年はオリンピックの悔しい思いのほうが大きくて、(決勝のリードで)ゴールを取りたかったという思いが強かったです。ワールドカップでは実力を出せて優勝もできたんですけど、やっぱりボルダーがまだまだなので、ボルダーもリードも両方強い選手を目指して頑張りたいです」

――ボルダーは何か取り組み始めたことはありますか?

「トレーニング施設に行ける時に行っていたんですけど、それだと不定期になってしまうので、週1回パーソナルトレーナーをつけて筋トレをしています。脚力は少しずつ伸びてくるんじゃないかなと思っています」

――2025年の抱負はありますか?

「まずはBJC(ボルダージャパンカップ)、LJC(リードジャパンカップ)でしっかり良い成績を残して日本代表権を得て、ロサンゼルスオリンピックに向けて海外の経験を積んでいくことと、世界選手権はリードのシード権を得ているので、そこでも優勝して世界に私のかっこいい登りを見せられたらいいなと思っています」

▼小俣史温(日本体育大学)
――2024年を振り返ると?

「最後のユースの年だったので、ユースとシニアどっちも両立して頑張ろうっていう気持ちで挑みました。ユースは結局最後の年まで世界ユース選手権で優勝できることはなかったんですけど、その悔しさをバネにシニアを頑張れました」

――ワールドカップではブリアンソン大会とソウル大会で3位、アジア選手権では優勝しました(いずれもリード種目)。

「ワールドカップも最初のほうは駄目で、2024年の前半は駄目が続いたんですけど、その反省を力にして最後のほうはペースを上げて頑張れたかなと思います」

――2025年の抱負はありますか?

「世界選手権で天下を取りたいです。世界選手権で優勝すれば人生が多少は変わると思うので、夢を持ってクライミングしていきたいなって思います」

――LJCは3連覇が懸かっています。

「去年勝てたことが万々歳で、満足していたんですけど、1年経つとLJCで優勝したい欲がまたふつふつと湧き上がってきています。僕にとっては今年最初の大会となるので、いいスタートを切りたいです」

▼中村真緒(日新火災)
――2024年の振り返りと2025年の意気込みを教えてください。

「2024年はW杯の年間3位に入ることができましたが、オリンピックがあってW杯をスキップした選手によってその結果を頂けたと思っています。『いっぱい出たで賞」って呼んでるんですけど、2025年はそうならないように、ちゃんと自分の手で多くの強い人が出ている中で勝てたらと思います」

――去年優勝したBJCに臨む気持ちについて、普段と違う点はありますか?

「優勝はしたんですけれども、そんなに実感が湧かなかったといいますか、実力で優勝したかと言われるとやっぱり課題に恵まれた部分もありました。連覇は目指してはいるんですけれど、今年も挑戦者としてまた頑張ってみたいなと思います」

▼小武芽生(エスエスケイフーズ)
――2024年はどのような年でしたか?

「競技人生の中で一番濃い1年になりました。ワールドカップでの優勝を一番の目標にしていたので、オリンピック前で出場選手が少なかった面もありますが、優勝という結果を残せてすごくうれしかったです」

――2025年はどんな年にしたいですか?

「年齢的にいつ辞めるのかって思われるかもしれないんですけど、常に進化して、ずっとハングリーにクライミングと向き合っていきたいと思います」

――まだまだ大会には出続けたいですか?

「行けるところまで行くつもりなので、まだまだ頑張ります」

▼村下善乙(法政大学)
――将来について「迷走中」だと聞きました。

「就活がうまく進まず、大会に出るかどうかも迷っている状態です。去年のワールドカップを最後にクライミングをいったん休んで、就活しようとしていました。でも、就活のモチベーションが下がってきたところに2025年のワールドカップに出場できる権利があることを知って、クライミング自体も再開して楽しくなってきたので、迷走中です」

――そういう中で、2025年はどんな年にしたいですか?

「クライミングを楽しみたいのと、働く先を見つけたいです(笑)。就職先を見つけられるように頑張ります」

▼長森晴(N高等学校)
――2024年を振り返ると?

「去年は初めて世界ユース選手権で優勝できたんですけど、9月末ぐらいに足の靭帯をケガしてしまって、そこから国スポに出られなかったり、アジアユース選手権は万全な状態だったんですけどまだ足りないところがあったりして、ボルダーでもリードでも表彰台に乗れませんでした」

――2025年の抱負はありますか?

「ケガをしない体づくりや心のケアもしていきながら、BJCやLJCで結果を残しつつ、今年も世界ユース選手権で優勝したいというのが今年の目標です」

▼濱田琉誠(神奈川県山岳連盟)
――2024年はどのような年でしたか?

「ボルダーで結果を残せましたが、リードは厳しい1年でした。最後にようやくHSC2024(全国高等学校選抜スポーツクライミング選手権大会)のリードで優勝できたので、メンタル的にも鍛えられた年だったと思います」

――2025年はどんな年にしたいですか?

「今年からジャパンツアーに出られるので、シニアでも安定した成績を残せる年にしたいです」

▼杉本侑翼(近畿大学工業高等専門学校)
――2024年を振り返ると?

「リードのユース日本代表に選ばれたことで、ボルダーがメインだった僕にとっては新しい挑戦としてユース世界選手権を迎えました。優勝できてリードにも可能性を見出せたと感じています」

――2025年の抱負はありますか?

「もう1年ユースの年代だと思っていたんですけど、(カテゴリー編成の変更で)今年からユースの大会に出られなくなるので、より一層気を引き締めて2、3月にあるジャパンカップに挑んでいけたらと思います」

▼藏敷慎人(兵庫県山岳連盟)
――2024年を振り返ると?

「ずっと世界ユース選手権に行けていなかったので、『今年こそは行くぞ』という気持ちで挑みました。初めてユースの日本代表になれて、初めての世界ユース選手権で優勝することができてとてもうれしかったです。自分は今まで日本で勝てなかったんですけど、世界でも勝てるようになって、それに気づけたことが去年一番大きかったことかなと思います」

――2025年の抱負はありますか?

「ユースは最後の年なので、やっぱり最後も勝ちたいですし、シニアでも結果を残して戦いたいですね。去年は(上位に)かすりもしなかったので、トップレベルの人たちと同じ土俵に立つぐらいまでは行きたいです。4月から大学生になるので、クライミングと勉強の両立も頑張りたいです」

▼林有沙(石川県山岳・スポーツクライミング協会)
――2024年はどのような年でしたか?

「去年はユースに出られる年齢に達して、ユースの大会1年目で結構緊張していたんですけど、自分らしい登りができて、優勝もできたのでうれしかったです」

――ユース日本選手権、ユース世界選手権、ユースアジア選手権の3大会で優勝(いずれもリード種目)しました。 想像はしていましたか?

「自信はありましたけど、外国の選手も意外と強くて、世界ユース選手権の予選ですごく強い選手がいて、それでまずびっくりして、そこからどう挽回していこうかな?と思っていました」

――2025年の抱負はありますか?

「去年はタイムアップが結構多くて、それで力を出し切れないことが多かったので、今年はテンポよく登ってちゃんと完登したいと思います」

2025競技会一覧

  • ボルダージャパンカップ2025(BJC2025)
  • スピードジャパンカップ2025(SJC2025)第5回スピードユース日本選手権多久大会(SYC2025)