JMSCAウェブマガジン

メニュー

【選手コメント】ボルダーW杯第1戦から日本代表が活躍

国際大会公開日: 2025-04-30
【選手コメント】ボルダーW杯第1戦から日本代表が活躍

Photo : JMSCA

4月18日~20日に中国・柯橋で行われたクライミングワールドカップ開幕戦のボルダー第1戦は日本男女全員が予選を通過、決勝には3人ずつが進んで安楽宙斗選手が男子を制するなど、初戦から日本勢が活躍を見せました。選手たちは21日に成田空港へ帰国。到着後、安井博志ヘッドコーチや選手たちに初戦を終えた感想を伺いました。
※飛行機の到着時刻が遅れた影響などにより、コメントは一部選手のみ

(取材・文/CLIMBERS編集部)

安井博志ヘッドコーチ

――まずは初戦を終えた日本代表チームの全体的な総括からお願いします。

「初戦から男女とも可能性のあるトライができていてすごく良かったですね。予選を全員が突破したことで雰囲気も良くなりました。決勝に男女3人ずつ進みましたし、男子は優勝もしました。素晴らしい初戦だったと思います」

――男子は安楽選手が優勝、楢崎兄弟も接戦で上位争いを演じました。

「あらためて日本人選手は器用だなと。ムーブの発想が良かったです。他国の選手はどう動いたらいいか理解できずに苦しんでいるように見えました。特に安楽は冷静に対応できていて成長を感じましたね」

――日本女子の印象はいかがですか?

「野中が1課題目を唯一完登したことで圧倒的に良い展開でしたから、本人も悔しいとは思うんですけど、それでも次につながる良い決勝でした。中村もスラブがしっかり登れ、関川は最終課題で唯一ゴールタッチができました。それぞれの選手の良い部分が見えて、日本チームにまた自信が湧くような決勝ラウンドになったと思います」

――今シーズンから導入されたポイント制はオールラウンダーが上位に入る方向性だと思います。その辺りで次戦に向けた課題は残っていると思いますがどう捉えていますか?

「どんな課題でも登る力はそれぞれが持っていますので、決め切ることがもう少しできればとは思っています。焦ってたくさんトライするなどの対応をしてしまうと、フィジカル要素の強い課題が多い場合は消耗が激しくなりますし、今大会は気候的に蒸し暑かったこともあります。そういった中で、やはり少ないトライ数で登れる選手が上位に来るという点は感じました」

――次回のボルダーW杯はブラジルのクリチバ(5月16〜18日予定)で行われます。

「ブラジルは出場する選手層が薄くなりそうだと聞いています。予選や準決勝よりも、決勝でどれだけのパフォーマンスを出せるかだと思います。セッターの陣容的に課題はフィジカル重視になることが想像できるので、しっかりコンディションを整えて臨みたいですね」

安楽宙斗(JSOL)※男子優勝

――初戦で見事に優勝しました。

「純粋にうれしいです。オフシーズンに2024年の改善点をまとめて、常に考えながら練習してきました。準決勝も決勝も、躊躇しないことや1トライ1トライの切り替えなど、その練習成果が現れたこともすごくよかったと思います」

――決勝の第1課題、1トライしたあとに2分ほど時間を空けて、2トライ目に見事完登でした。何を考えていましたか?

「どうしたら確実にいけるのか、常にずっと頭を回して考えていました。落ち着いてトライするように心がけていて、迷った時でも冷静にムーブを選べたと思います。今までは自分の世界に入り込んじゃうことが多かったんですけど、客観視できているといいますか。時間に追われている中で、それをあまり感じずに落ち着いてトライできたことが大きかったと思います」

――次回のボルダーW杯はクリチバ大会に出場予定です。

「もちろんブラジルでも優勝したいですね。この1位も反省点は何個かあると思うので、しっかり洗い出して臨みたいです。今回は準決勝でスラブ課題ができずに2位だったので、次は確実に一個一個仕留めて“オールラウンド全完”での1位を狙いたいと思います」

楢﨑明智(日新火災)※男子3位

――初戦は3位で表彰台に上がりました。

「予選からブザービートを決めなきゃダメみたいな瞬間が多すぎて、全ラウンドが本当にギリギリでした。なんとかつないだ3位という感じですね」

――大会に臨む前の心境は?

「もちろん狙うは優勝だったんですけど、予選ではコンペに対するメンタリティが仕上がり切っていなかったと感じて、決勝に残ることを目標に切り替えていました。メダルにたどり着けてうれしいです」

――2月のボルダージャパンカップ(以下BJC)では予選敗退でした。そこから立ち直った感覚はありますか?

「実は予選の日、結構緊張していました。動きはガタガタでしたね(笑)。でも予選を通過したらなんとかなると思って、そうしたら去年の良いイメージ(前回の柯橋大会も決勝進出)もあって登れたのでよかったです」

――次回出場予定の大会への意気込みをお願いします。

「次回はブラジルです。今回の決勝メンバーはだいたい出場するという噂を聞いたので、同じような対決になるのかなと思っています。もちろん目指すはW杯での初優勝です」

楢﨑智亜(無所属)※男子4位

――初戦を終えた感想を教えてください。

「成績としてはいまいちだったんですけど、内容としては良かったと思います。ほんの少しの修正ができれば完登できた課題も多かったと思っているので。それがわかったのはよかったですし、(次回出場予定の)ブラジルまであと3週間ちょっとあるので、仕上げていけば次は優勝が見えるかなと思っています」

――トリッキーかつダイナミックな決勝第3課題は得意そうに見えましたが、完登には届きませんでした。

「難しかったというよりも、BJCが終わってからベーシックなクライミングのほうの完登数を上げたいという思いで、ダイナミックだったりスラブだったりの練習量が落ちていました。その影響が出たのかなと思っています。そこも調子を上げていけば、難易度的には大丈夫だと思っています。ブラジルでは優勝できるように頑張ります」

杉本怜(Base Camp)※男子11位

――初戦を終えた感想を教えてください。

「海外でのワールドカップは久しぶりだったんですけれど、以前よりも感触はよくて、今後につながるいいワールドカップだったんじゃないかなと思っています」

――次回の出場予定は?

「ブラジル(クリチバ)とアメリカ(ソルトレイクシティ/5月23〜25日開催予定)に出場します。日本代表の選考的に、次を頑張らないといけないっていうのはもう明白になったので、最低でも表彰台を目指して頑張ります」

野中生萌(無所属)※女子5位

――初戦を終えた感想をお願いします。

「ファイナルは1課題目(の完登)で優勝のフラグを立てたので“優勝ロード”があったんですけど(笑)、結局はできず。スラブの課題を登れていれば優勝の芽はありましたし、最終課題もゾーンを取っていれば2位に滑り込めましたけど、結果は5位。新しいフォーマットならではといった感じでまた1つ学びを得られたといいますか、経験を積めました」

――最終課題のゾーンは難しかったですか?

「あの日はめちゃくちゃ暑くて湿度も高くて、コンディションが滞在期間中で一番悪かったんですけど、そういった中で選択するムーブは普段と変わってくることもあって、ベストの状態で動けていなかった感じはしています」

――次回の出場予定は?

「ブラジルはスキップして、ソルトレイクシティ大会に出場予定です。あらためて1課題目から重要だし、そこを登っていけるメンタリティも得られました。フルメンバーは出場していないにしても、初戦から優勝や表彰台を狙えるポジションにいるというのはかなり大きな気づきだったので、自信を持ってソルトレイクシティに行きたいですね」

――プライベートではボルダージムをオープンすることを発表されました。その準備で忙しいのではないでしょうか?

「本当に忙しくて、その合間に練習していたので、今まで通りのルーティンとはまったく違って正直に言うと不安でしかなかったです。もちろん大変なんですけど、今やることに意味があると思っています。前線で活躍しながらジムを経営することを目標にしている部分もあるので、どちらも全力で頑張ります」

関川愛音(八戸学院光星高等学校)※女子6位

――初戦を終えた感想を教えてください。

「初戦から目標にしていた決勝に残れました。決勝ではあまり満足できる登りができなかったので、次の大会まで間は短いんですけど、できることを考えて勝てるように頑張りたいと思います」

――どの辺りが満足できなかったですか?

「課題の読みとか、決勝のフォーマットや気候にうまく合わせられなかったなと思います。結構暑くて、手も汗で滑ったりしました」

――次回出場予定のクリチバ大会に向けて意気込みを聞かせてください。

「ブラジルは出場選手が比較的少なくてチャンスだと思うので、そこで優勝したいですし、世界選手権や後半3大会の出場枠も取れるように頑張りたいです」

葛生真白(白鴎大学)※女子9位

――初戦を終えた感想を教えてください。

「海外でのワールドカップは初めてでした。2年前の八王子大会に出た時は準決勝に行けたんですけど、ゾーンすら取れずに何もさせてもらえなくて。今回は完登できましたし、自分が思っていた以上の結果が出たので、次のブラジルも頑張りたいと思います」

――改善したい点はありますか?

「得意な部分は割と対応できるんですけど、苦手な課題にまったく対応できないので、そこを克服していきたいと思います」

松藤藍夢(日本大学)※女子11位

――初戦を終えた感想を教えてください。

「すごく悔しい、というのが大きいです。いろいろとうまくいかなかったというか、思っていたよりも中国の湿気が多くて、手が滑ったりして動揺してしまいました。あまり自分の実力を出せなかったと思います」

――課題や収穫などはありましたか?

「課題のタイプが別々に分かれていて、コーディネーションとかスラブとか、1つでもミスしたら順位が分かれてしまう印象でした。今後は苦手なコーディネーションもしっかり落としていきたいです」

――次回はクリチバ大会に出場予定です。

「ブラジルまでにしっかりとメンタルを整えて、自分の実力を信じたまま行きたいと思っています」

2025競技会一覧

  • 第13回リードユース日本選手権多久大会(LYC2025)
  • リードジャパンカップ2025(LJC2025)
  • スピードジャパンカップ2025(SJC2025)第5回スピードユース日本選手権多久大会(SYC2025)
  • ボルダージャパンカップ2025(BJC2025)