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【選手コメント】クライミングW杯スピード日本代表がバリから帰国 大政涼選手が日本人初の銀メダルに輝く

インタビュー公開日: 2025-05-16
【選手コメント】クライミングW杯スピード日本代表がバリから帰国 大政涼選手が日本人初の銀メダルに輝く

Photo : © Kazushige Nakajima/IFSC

クライミングワールドカップのスピード第1戦が4月25・26日に中国・呉江で、同第2戦が5月2日にインドネシア・バリで行われました。日本勢は大政涼選手、安川潤選手、林かりん選手が中国からインドネシアに移動して連続出場、藤野柊斗選手が第2戦のみに出場し、大政選手と藤野選手が決勝トーナメントに進出する活躍を見せました。2戦連続で予選を突破した大政選手は、第2戦で日本人初の銀メダルを獲得しています。5日に羽田空港へ帰国した選手たちに話を伺いました。

(取材・文/CLIMBERS編集部)
▼大政涼(ダイキアクシス)
第1戦 15位/第2戦 2位
――第1戦、第2戦に出場した感想を教えてください。

「シーズン最初の国際大会は毎年緊張するのでいいイメージがなかったんですけど、第1戦はプラクティスからいいタイムが出て決勝に進むことができました。決勝の1本目で相手がかなり速い選手ということもあり、フライングしてしまったことは大きな反省点でした」

――第2戦では日本勢初の銀メダルに輝きました。

「バリはジャカルタよりも暑さを感じて、アップも今まで通りにしたらいいのか、控えめにしたらいいのかを調整しながらでしたが、予選はうまくハマり、決勝もその調子のままどんどんレースを進めていけました。国際大会での自己ベスト(4秒90)も出せてよかったですね」

――ビッグファイナルでは2戦連続でフライングによる敗退に終わってしまいました。その要因をどう考えていますか?

「スピードジャパンカップの後にスタートの動きを変えたんですけど、まだ完璧ではないために(スタート時の)リアクションタイムが速すぎてフライングにつながっています。ムーブを変えたことでタイムは伸びていますし、もっと極めていくことで、フライングしないこと、もっとタイムが伸びることに自信があります」

――スタート時のムーブを変えた理由は?

「もともと初速が遅いのが悩みで、ずっと変えようと思っていたんです。スタートのパート以外にも修正ポイントがいくつかあるので、まだまだ成長できる感覚があります」

――次戦に向けた意気込みをお願いします。

「国際大会でも4秒台を出せるようになり、実力が上がっている実感があります。ですが、(第2戦で)優勝した(サミュエル・)ワトソン選手や3位のキロマル(・カティビン)選手とはまだ差があることを感じました。まだまだタイムを上げていかないといけません。次はデンバー大会(5月31日~6月1日)に出場予定で、3週間ほど間が空くので0.1秒ほど自己ベストを更新して挑めたら最高だなと思います」


▼藤野柊斗(東洋大学)
第2戦 8位
――第2戦に出場した感想を教えてください。

「自己最高の8位で終えることができてうれしい部分もありますが、(決勝トーナメントの)2回戦で4秒台を出せなかった悔しい部分もあって、うれしいと悔しいで複雑な気持ちです」

――タイムは上がってきていますよね。

「公式大会で初めて5秒0台に突入できたので、そこは進歩かなと思っています。でも4秒8台は出さないと上位を狙えません。(上位陣のタイムは)これからさらに上がっていくと思うので、追いつかないといけないなという気持ちです」

――4秒台が近づいてきています。

「非公式だと4秒台にはもう突入しているんです。でもそれを大会で出さないといけないのが難しいところですね」

――第2戦ではサミュエル・ワトソン選手が世界記録を更新しました。

「4秒64を目の前で見ると、『同じ人間なのかな?』って思いますよね(笑)」

――改善したい点はどこですか?

「まずスタートのムーブを改善できると思っています。スタートで勢いがあると後半の勢いも変わってくるはずなので、次回出場予定のデンバー大会までに見直して、さらに4秒台に入りやすいようなムーブをつくれたらと思います。次戦で4秒台に突入すること、ワールドカップで入賞することを目指して頑張ります」


▼安川潤(早稲田大学)
第1戦 54位/第2戦 60位
――第1戦、第2戦に出場した感想を教えてください。

「去年はワールドカップに出れば決勝は行けるような状態に仕上がっていたので、それと比べると今回は2戦とも結果を残せず、落ち込みました」

――結果が出なかった要因をどう分析していますか?

「スピードジャパンカップが終わってからメンタル面だったりコンディション面だったりを整えられず、練習の量も質もうまく取れない中で臨んだ大会でした。練習不足が響いたことを感じています」

――次回出場予定は?

「まだ未定ですが、(8月の)ワールドゲームズか(9月の)世界選手権までは間を空けて、休養を取ることを考えています。今回の2連戦で世界との差が広がったことを強く感じています。メンタル面もそうですし、フィジカル的にもまだまだ戦える状態じゃないので、一旦整えようかなと思っています」

――世界新記録を目の前で見て、感じたことはありますか?

「去年の『NEOM IFSC Masters』で表彰台に乗ってから『来年は世界を取れるな』という自信があったんですけど、4秒64を生で観て、心が折れそうでした(笑)」

――技術面で改善していきたいポイントはありますか?

「フィジカル面が圧倒的に足りていません。これまでは技術面を重視して、世界で一番効率のいい登りをしようと思っていたんですけど、やっぱり体から負けていて、まだまだ世界で戦える状況じゃないと感じました。もちろん技術面は詰めていきつつ、体づくりを本格的にやりたいと考えています」


▼林かりん(鳥取県山岳・スポーツクライミング協会)
第1戦 33位/第2戦 23位
――第1戦、第2戦に出場した感想を教えてください。

「3月までは記録が伸び続けていたんですけど、4月に入ってから新しいお仕事などを始めて環境が変わったこともあり、コンディションが整わないまま第1戦、第2戦を迎えてしまいました。本調子ではなかったので『悔しい』の一言です」

――その中でも第2戦は第1戦からタイムが大幅に縮まりました。

「第2戦が開かれたバリ島は初めて行く場所で、それを楽しみにしていたので吹っ切れた感覚で登れました」

――次回出場予定は?

「私はデンバー大会には出ず、7月にヨーロッパで2戦に出場予定です。少し時間が空くので、コンディションを整え直して挑みたいと思っています」

――タイムを上げていく自信はありますか?

「あります。課題も見えていますし、とにかくコンディションがすべてです。第1戦、第2戦の決勝を観ていて、(大政)涼くんも表彰台に乗っていてかっこいいなって思うので、私も今は『やるぞ!』という気持ちになっています。7月の2戦では両方とも決勝に残って日本記録を更新して、あわよくば表彰台を狙いたいです」

2025競技会一覧

  • 第13回リードユース日本選手権多久大会(LYC2025)
  • リードジャパンカップ2025(LJC2025)
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  • ボルダージャパンカップ2025(BJC2025)