2028年ロサンゼルス五輪を見据える重要な舞台。アジアの頂点を懸けた戦いが中国・眉山で幕を開ける

Photo : © Kazushige Nakajima/IFSC
4月8日に中国・眉山で開幕するアジア選手権。日本人選手にとって2026年シーズンの国際大会初戦となるこの舞台は、2028年ロサンゼルス五輪へと続く道のりの重要な一歩となる。世界選手権の出場枠獲得やアジア競技大会の代表内定が懸かる激戦を前に、安井博志ヘッドコーチに今大会の注目ポイントを聞いた。(取材・文/CLIMBERS編集部)
4月8日から12日にかけて、中国・眉山で「ワールドクライミング アジア選手権」が開催される。5月に開幕する「ワールドクライミングシリーズ」に先駆けて行われる今大会は、日本人選手にとって2026年の国際大会初戦となる。
実施種目はボルダー、リード、スピードの3種目。過去大会の例を踏まえると、アジア選手権の各種目優勝者には世界選手権の出場枠が付与されてきた経緯がある(今後のルール変更がなければという条件付き)。今回でいえば2027年の世界選手権が対象となり、同選手権は2028年ロサンゼルス五輪の出場枠に直結する大会となる見通しで、今大会は五輪へ向かうプロセスの中でも重要な位置付けにあると言える。
さらに、日本人選手の各種目最上位者(内定選手を除く)は今秋に名古屋で開催されるアジア競技大会の日本代表を決める重要な位置付けとなっている。すでに1月時点で、ボルダーは安楽宙斗と野中生萌、リードは吉田智音と小武芽生、スピードは藤野柊斗と小屋松恋が内定しており、残る出場1枠を懸けた争いも注目される。以下、アジア選手権に出場する日本代表選手一覧と、安井博志ヘッドコーチのアジア選手権に向けたコメントを紹介する。
[ワールドクライミング アジア選手権 眉山2026 派遣選手]
男子ボルダー
天笠 颯太(東洋染工)
楢﨑 智亜(無所属)
楢﨑 明智(日新火災)
土肥 圭太(鹿児島県山岳・スポーツクライミング連盟)
川又 玲瑛(無所属)
女子ボルダー
関川 愛音(無所属)
野中 生萌(無所属)
松藤 藍夢(無所属)
伊藤 ふたば(デンソー岩手)
森 秋彩(茨城県山岳連盟)
男子リード
安楽 宙斗(JSOL)
鈴木 音生(静岡県山岳・スポーツクライミング連盟)
小俣 史温(日本体育大学)
百合草 碧皇(日新火災)
西尾 洸音(摂南大学)
女子リード
小池 はな(日本大学)
小田 菜摘(摂南大学)
中川 瑠(INPEX)
青栁 未愛(愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟)
谷井 菜月(愛媛県山岳・スポーツクライミング連盟)
男子スピード
田渕 幹規(摂南大学)
齋藤 蒼太(木更津総合高等学校)
女子スピード
河上 史佳(鳥取県山岳・スポーツクライミング協会)
※派遣選手は変更になる場合があります
※安楽宙斗はボルダー出場を見送る予定
安井博志ヘッドコーチ コメント
――アジア選手権の注目ポイントを教えてください。
「かなり真剣勝負になるはずで、とても面白い展開になると思います。ボルダーはジャパンカップの結果からして楢崎智亜・明智兄弟の戦いは激しくなりそうで、どちらが勝ってもおかしくありません。リードは鈴木音生がものすごく仕上がっています。安楽は今回のアジア選手権はボルダーをスキップし、リードに絞って出場するということで、それがどう転ぶか。鈴木は先日の合宿でかなり難しい難易度の課題をオンサイトしていて、このような状況において安楽は闘志に火がついていると思います。今回安楽が注力して挑むリードは見どころの1つです。男子のボルダーは前回大会優勝の枠を持つ安楽が出場しませんので、日本からは国別枠による5人が出場予定です。女子に関しては、ボルダーは野中生萌、伊藤ふたば、関川愛音、中村真緒の調子がかなりいいです。この4人がどのような結果を出して、出場枠を獲得するか。リードは何といっても森秋彩ですね。調子は良さそうに見えるので、期待できます。スピードは男女の日本記録保持者、大政涼と林かりんがしっかり結果を出せれば、おのずと順位もついてくるでしょう」
――安楽選手は2025年の世界選手権でボルダーを制していることから2027年の世界選手権でボルダーに出場できる見込みです。また今秋のアジア競技大会のボルダーに出場できます。今回のアジア選手権ではリードに専念し、日本人1位かつ優勝を遂げることで、アジア競技大会2026と世界選手権2027でまだ持っていないリードの出場権を確実に取りにいきたいという意図が見えます。
「彼のボルダーはまだ完璧ではなく、ボルダーもリードも伸びしろがあり、まだ完成形の選手ではありません。そういう意味では欲張って両種目に出場してもいいと思いますが、すでに出場権を各種大会において獲得していることから出場種目をリードに絞ったことはいい考えだとも言えます。今秋のアジア競技大会はボルダーの出場枠を持っている状態で、2027年の世界選手権もボルダーの出場枠は獲得済みなので、リードで優勝し、今後も本気で2種目で戦いたいという思いの表れだと思います。アジア選手権王者に与えられる世界選手権の出場枠は『アジア枠』となり、各国に与えられる『国別枠』とは別になる見込みです。日本代表チームとしては是が非でもアジア枠を取りにいきたい。そうすると、日本は2027年の世界選手権により多くの選手を送り込むことができます。今大会でもしっかりと結果を残し、日本チーム全体に勢いをつけてロサンゼルス五輪へ向けても優位に進められればと思います」
