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ユース世代でも進む世界の高レベル化 鈴木友希HCの世界ユース選手権総括

インタビュー公開日: 2026-07-30
ユース世代でも進む世界の高レベル化 鈴木友希HCの世界ユース選手権総括

Photo : © World Climbing

7月18日から25日(現地時間)までイタリア・アルコで開催された「ワールドクライミング世界ユース選手権 アルコ2026」で、日本代表は金3、銀1、銅3の計7個のメダルを獲得。リードでは5個、ボルダーでは2個のメダルを手にし、中でもU-17男子の仲田和樹がリードとボルダーの2冠を達成した。一方でスピード種目はメダル獲得に届かなかった。世界のトップユースが集う舞台を終え、ユース日本代表ヘッドコーチの鈴木友希氏が各種目を総括した。

(取材・文/CLIMBERS編集部)
SUZUKI Yuki
プロフィール
鈴木 友希 - SUZUKI Yuki
ユース日本代表ヘッドコーチ

1985年1月20日生まれ、東京都出身。幼少期からクライミングをはじめ、2007年にボルダーワールドカップ出場。13年からはユース日本代表コーチを務めるなど多くのユース世代を指導してきた。26年度よりヘッドコーチに昇格。普段は株式会社8611に勤務して都内のボルダリングジム「B-PUMP OGIKUBO」の運営に携わっている。
(Photo:© Lena Drapella/World Climbing)


リード

【日本人選手結果】

[U-17男子]
1位:仲田 和樹(神奈川県山岳連盟)
3位:齋木 猛斗(海星高等学校)
4位:石田 奏(星槎国際高等学校)

[U-17女子]
1位:林 有沙(石川県山岳・スポーツクライミング協会)
6位:秋山 明日葉(奈良県山岳連盟)
16位:西 美柚奈(大阪府山岳連盟)

[U-19男子]
3位:濱田 琉誠(神奈川県山岳連盟)
4位:長森 晴(N高等学校)
10位:藤田 楓(摂南大学)
15位:宮川 幸大(静岡県山岳・スポーツクライミング連盟)

[U-19女子]
3位:小田 菜摘(摂南大学)
5位:麦島 心花(中部大学春日丘高等学校)
8位:村杉 汐里(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)

【鈴木友希HCコメント】

今回はラウンドごとにルートの色が違い、総合力が試される内容でした。近年のワールドクライミングシリーズと同様に見た目は派手ですが、内容としては一昔前の要素が多く含まれていました。

予選はストレートアップでレストポイントが少なく、前腕の持久力が試されるルートでした。準決勝は下部の足置きへのリスクが高く、ダメージを抑えた状態で上部の勝負ポイントへ入っていけるかが鍵になりました。決勝は下部のダイナミックな動きから上部の前腕持久力へうまく切り替えられないと、勝負ポイントの前で振り落とされるような内容でした。

また全体的に、一つのホールドに対してさまざまな動きが要求されるため、自然と保持時間が長くなります。テンポよく登れなければ、勝負ポイントの前で疲弊して振り落とされるルート構成だったと思います。

男女ともにU-17、U-19のレベルはこれまで以上に拮抗しているように感じました。ユースカテゴリーの変更により各大会で共通課題が増え、各国の強化方針も変わってきています。その結果として、U-17世代が自然と強化される流れになっているのではないかと考えています。今回は予選と準決勝で別ルートでしたが、共通ルートになる日もそう遠くないかもしれません。

スピード

【日本人選手結果】

[U-17男子]
17位:茶谷 悠成(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)
23位:渡邊 大和(千葉商科大学付属高等学校)
25位:高橋 立斗(千葉商科大学付属高等学校)

[U-17女子]
7位:齋藤 蒼那(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)
15位:原 菜都美(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)
28位:望月 咲希(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)

[U-19男子]
6位:齋藤 蒼太(木更津総合高等学校)
20位:柏 龍弥(三重県立久居農林高等学校)
21位:片山 尚輝(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)

[U-19女子]
6位:小屋松 恋(摂南大学)
15位:西村 優杏(千葉県山岳・スポーツクライミング協会)
31位:岡信 葵衣(岡山県山岳・スポーツクライミング連盟)

※小屋松恋が6.94秒の女子日本新記録、齋藤蒼太が5.15秒のU-19日本記録、齋藤蒼那が7.71秒のU-17女子日本記録を樹立

【鈴木友希HCコメント】

スピードもリードと同様に、U-17とU-19のカテゴリー間で非常にレベルが拮抗していると感じました。特に中国、韓国、インド、タイ、アメリカは選手層の厚さと伸び率が際立っています。

トレーニング方法が確立されてきているように感じますし、年齢を問わず男子は5秒台前半、女子は6秒台後半までは比較的容易にタイムが出せる傾向があります。

海外のレベルアップに遅れを取らないよう、日本独自のトレーニング方法を確立するか、あるいは海外で現在主流となっているトレーニング方法を積極的に取り入れていく必要があると感じました。スピード強化と合わせて、日本全国での施設整備も急務だと思います。

ボルダー

【日本人選手結果】

[U-17男子]
1位:仲田 和樹(神奈川県山岳連盟)
2位:齋木 猛斗(海星高等学校)
6位:中山 拓弥(近畿大学附属高等学校)

[U-17女子]
14位:中村 まりん(茨城県立勝田中等教育学校)
27位:村上 和香(京都府山岳連盟)
33位:秋山 明日葉(奈良県山岳連盟)

[U-19男子]
12位:濱田 琉誠(神奈川県山岳連盟)
14位:戸田 稜大(栃木県山岳・スポーツクライミング連盟)
33位:藤田 楓(摂南大学)
41位:長森 晴(N高等学校)

[U-19女子]
6位:麦島 心花(中部大学春日丘高等学校)
11位:松浦 朱希(東京都山岳連盟)
20位:狩野 凪(浜松学芸高等学校)

【鈴木友希HCコメント】

今大会は昨年の世界ユース選手権と比べて、ほとんどシニアの大会に近い内容でした。強度が少し弱いくらいの印象で、フィジカル的な部分がまだ足りないということを痛感しました。

日本人選手はフィジカルが弱いわけではありません。ただ、これまではフィジカルの差を逃がすといいますか、ごまかして指の保持力で対応できていた部分があったと思います。しかし今大会は“THEフィジカル”というタイプの課題が多く、思った以上に対応できなかった印象です。

一方で、U-17ではメダルを獲得し、しっかり登れている選手も見られました。そこは本当にうれしかったですし、選手たちが確実に強くなっている部分でもあると思います。

ただ、来年はまたカテゴリーが変わります。そうなった時に、どのように課題と向き合っていくのかを考えると、まだまだ足りない部分があるのではないかと思います。

U-19ほどフィジカル一辺倒ではなく、U-17はテクニカルな部分で対応できる課題もありました。その結果として今回の成績につながったと思いますが、今後は課題の傾向次第の部分もあります。