「世界ユース選手権以上の成果を」 鈴木友希HCが語るアジアユース選手権2026の展望

Photo : © World Climbing
8月21日から25日にかけて中国・貴陽で開催される「ワールドクライミングアジアユース選手権 貴陽 2026」。7月の世界ユース選手権で日本は金3、銀1、銅3の計7個のメダルを獲得したが、中国や韓国などアジア勢の躍進も強く印象づけられた。アジアユース最大の舞台を前に、アジアユースシリーズが行われた中国から帰国したばかりのユース日本代表ヘッドコーチ・鈴木友希氏に展望を聞いた。
プロフィール
鈴木 友希 - SUZUKI Yuki
ユース日本代表ヘッドコーチ
1985年1月20日生まれ、東京都出身。幼少期からクライミングをはじめ、2007年にボルダーワールドカップ出場。13年からはユース日本代表コーチを務めるなど多くのユース世代を指導してきた。26年度よりヘッドコーチに昇格。普段は株式会社8611に勤務して都内のボルダリングジム「B-PUMP OGIKUBO」の運営に携わっている。
(Photo:© Lena Drapella/World Climbing)
――まず、アジアユース選手権の位置づけを教えてください。
「ユースカテゴリーの中では世界ユース選手権に次ぐ大きな大会です。その名の通りアジア各国が参加する、アジアで最大規模のユース大会になります」
――世界ユース選手権から約1カ月で迎える大会になります。
「世界ユース選手権の振り返りでも少し触れましたが、フィジカルやテクニカルな部分の向上ももちろん重要です。ただ、それ以上に国際大会の舞台で経験値をしっかり積み上げていくことが大切だと思っています。特に大会フォーマットを経験する機会は少ないですし、国内大会、世界ユース選手権、アジアユース選手権ではフォーマットも少しずつ異なります。そういった部分で選手が対応できないケースもあるので、やはり経験値は非常に重要だと思います」
国際大会で得た経験をどう生かすか
――今回の代表には、直近のアジアユースシリーズ(8月13~16日/中国・全南県)で国際大会を経験してからアジアユース選手権に臨む選手もいます。
「その経験がかなり活きてくると思っています。特にU-17リードの畠山煌太郎選手、U-17スピードの渡邊大和選手や氏家大翔選手は、アジアユースシリーズで多くの経験を積むことができました。また、U-17ボルダーの奥畑成選手は昨年のアジアユース選手権に出場していますし、アジアユースシリーズでも決勝まであと一歩という順位でした。自分に何が足りないかを感じることができた大会だったと思います」
――経験によってどのような部分が成長すると考えていますか?
「クライミング能力そのものというより、ボルダーであれば時間内にどう登るかという分析力、リードであればオブザベーション能力や登っている最中の判断力だと思います。アジアユースシリーズでは、ちょっとした判断ミスなどで順位を落としてしまった選手もいました。ただ、そういった部分は経験によって改善できるので、今回のアジアユース選手権にはより良い状態で挑めると思っています。スピードに出場した渡邊選手、氏家選手、高橋立斗選手はアジアユースシリーズで自己ベストを更新しています。国際大会初出場でしたが、良い流れのままアジアユース選手権に挑めると思います」
――世界ユース選手権、アジアユース選手権、アジアユースシリーズでフォーマットの違いはどのあたりにありますか?
「リードは参加人数によって準決勝がなかったりしますし、ボルダーも世界ユース選手権は予選が2グループで行われるなど違いがあります。直近のアジアユースシリーズは予選が5課題のベルトコンベア方式、決勝がワールドクライミングシリーズ方式でした。アジアユース選手権もそれに近い形になると思います」
――アジアユースシリーズを経験できたことはプラスになりそうですね。
「かなりプラスになると思います。普段からベルトコンベア方式を経験する機会は少ないので、限られた時間の中で登り切る難しさを実際に肌で感じられたことは大きいです。特にU-15世代は国内でベルトコンベア方式を経験する機会が少ないです。そういった選手が国際大会で初めて体験するのと、一度経験したうえで臨むのとでは大きな違いがあると思います」
世界ユース選手権以上の成果を目指して
――7月の世界ユース選手権と8月のアジアユースシリーズの結果を踏まえて、今大会の展望をどう見ますか?
「世界ユース選手権以上に厳しい戦いになるんじゃないかと思っています。世界ユース選手権では中国や韓国の躍進が非常に目立ちました。アジアだけの戦いになることで、さらにライバル意識も高まると思います。その中で表彰台に上がるのはかなりハードルが高いと感じています。ただ、世界ユース選手権で悔しい思いをした選手たちの気持ちはすごく伝わってきました。そういった気持ちをバネにして、世界ユース選手権から順位を一つでも二つでも上げてもらいたいですね。
U-17男子の仲田和樹選手、齋木猛斗選手、U-17女子の林有沙選手は世界ユース選手権で結果を残しています。今度は『表彰台に上がらなければ』というプレッシャーの中で、どう戦うかが見どころだと思います。U-19男子では、水谷生選手が国際大会初出場になりますし、笹原蓉翠選手は2023年以来の国際大会になります。世界ユース選手権を経験していないことが良い方向に出るのか、それとも難しさに繋がるのか注目しています。U-19女子では麦島心花選手ですね。世界ユース選手権ではボルダー、リードともに決勝へ進みながらメダルまであと一歩届きませんでした。一番悔しい思いをしている選手の一人だと思うので、そこからの成長に期待しています」
――課題傾向はどのようになると予想していますか? 世界ユース選手権では距離出しなどシニアに近い内容が多かったと思いますが、アジアユース選手権はアジア勢に合わせるような距離感になるでしょうか?
「リードには日本人セッターが1人、ボルダーには2人入っていると思うので、日本寄りの課題になるのではないかと考えています。そういう意味ではチャンスもあると思います。ただ、中国や韓国の選手も体格的に大きな差はありませんし、頻繁に日本へ来て登っています。そのため大きなアドバンテージがあるとは思っていません。距離が届く、届かないというよりも、クライミング技術や苦手・得意課題といった本来の実力差が出る大会になると思います。そういった環境で結果を残せれば大きな成長や自信に繋がるはずです」
――あらためてアジアユース選手権の目標を教えてください。
「世界ユース選手権以上の成果を出したいですね。メダル数も世界ユース選手権以上(7個以上)を目指します」








